調理師を目指し就職したのが30年前。
料理人になろうと思いたち、調理師学校にも行かず、
何の知識もないまま、いきなりホテルに就職した。
就職した先の料理長に
「ちゃんとした料理人になりたいならまず自分の包丁を持て」
と言われた。
当然職場には包丁は十分にそろえてあったが、
教えられた通り、必要な種類の包丁を5本買った。
プロ用の包丁は高価で、当時の私にはかなりしんどかったが
「これで生きていくのだ」と決め、何とか買いそろえた。
それからは厳しい修業が続き何度か挫折しそうになったが、
いろんな人の助けがあり何とかつづけてこれた。
この包丁はその時買ったものです。
包丁は研いで使うものなので大事に使っていても
本来のサイズからはかなり小さくなってしまいました。
今では当然新しいものやいろいろな種類の包丁を買いそろえて
使ってますが、今でもたまにこの包丁を使います。
就職して最初に料理長に言われた
「ちゃんとした料理人になりたいならまず自分の包丁を持て」
という言葉を思い出し、
自分はちゃんとした料理人になれているのか・・・と自問しながら。
古びて小さくなった包丁ですが初心に帰ることができる大事な私の道具です。
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